日本政策金融公庫の生活衛生貸付とは?

日本政策金融公庫には、飲食店、美容室、旅館、クリーニングなどの業種で利用が可能な「生活衛生貸付」という融資制度があります。

今回は、生活衛生貸付の「一般貸付」と「振興事業貸付」について解説します。

一般貸付とは?

生活衛生貸付の「一般貸付」は、飲食店営業、喫茶店営業、食肉販売業、食鳥肉販売業、氷雪販売業、理容業、美容業、その他公衆浴場業、一般公衆浴場業、旅館業、興行場営業、サウナ営業、クリーニング業や理容学校・美容学校を経営する方が利用できます。

旅館業法に基づく営業許可を受けた簡易宿所を経営する場合も利用できますが、民泊は対象外です。

「一般貸付(生活衛生貸付)」

日本政策金融公庫HP

従業員の処遇改善を行うなど、要件を満たすと特別金利が適用されて金利を低く抑えることができます。

資金のつかいみちは設備資金のみで、返済期間は13年(一般公衆浴場業は30年)以内です。据置期間は1年以内で、返済期間が7年超の場合は2年以内です。

☛☛☛「据置期間」について詳しくはこちら

融資の申込みには原則、都道府県知事の「推せん書」が必要です。(借入申込金額が500万円以下の場合は不要です。)

一般貸付の融資申込の流れは以下の通りです。

「一般貸付」融資申込の流れ(借入申込金額が500万円を超える場合)

①日本政策金融公庫に相談

②必要書類の準備
 ・推せん書交付願
 ・借入申込書
 ・衛生管理状況を確認するもの
 ・契約書、見積書、平面図など
 ・法人の場合は履歴事項全部証明書または登記簿謄本

③必要書類を揃えて生活衛生営業指導センターに推せん書の交付を申請

 各都道府県の生活衛生指導センター

④交付された「推せん書」を添付して日本政策金融公庫に融資申込

②必要書類のうち、「推せん書交付願」と「借入申込書」は日本政策金融公庫の各支店やインターネットから取得できます。

「推せん書交付願」

「借入申込書」(表面と裏面の両方)

日本政策金融公庫HP

振興事業貸付とは?

生活衛生貸付の「振興事業貸付」は、飲食店営業、喫茶店営業、食肉販売業、食鳥肉販売業、氷雪販売業、理容業、美容業、一般公衆浴場業、旅館業、興行場営業、クリーニング業を経営する方で生活衛生同業組合の組合員の方が振興計画の認定を受けている場合に利用できます。

旅館業法に基づく営業許可を受けた簡易宿所を経営する場合も利用できますが、一般貸付と同様に民泊は対象外です。

「振興事業貸付」

日本政策金融公庫HP

資金のつかいみちは一般貸付とは違い、設備資金のほか運転資金にも利用できます。返済期間は設備資金が20年(インバウンド対応に必要な設備資金は30年)以内で、運転資金は7年以内です。据置期間は設備資金と運転資金ともに2年以内です。

☛☛☛「据置期間」について詳しくはこちら

一般貸付と同様に、従業員の処遇改善を行うなど、要件を満たすと特別金利が適用されて金利を低く抑えることができます。

融資の申込みには、振興計画認定組合の長が発行する「振興事業に係る資金証明書」などが必要となります。

振興事業貸付の融資申込の流れは以下の通りです。

「振興事業貸付」融資申込の流れ

①生活衛生同業組合か日本政策金融公庫に相談

 各業種の生活衛生同業組合連合会

②加入している生活衛生同業組合の長に「振興事業に係る資金証明書」などの交付依頼

交付された「振興事業に係る資金証明書」などを添付して日本政策金融公庫に融資申込

まだ組合に加入していない場合は、加入後に「振興事業に係る資金証明書」などの交付依頼をします。加入する組合により、営業日や営業時間、資金証明書などの交付を取扱っている曜日などが異なる場合がありますので、事前に確認しておいたほうが良いでしょう。

また「振興事業に係る資金証明書」のほかに「振興事業促進支援融資制度に係る事業計画書」や裏面の「生産性向上に係る事業計画書」の内容に取り組むことで、金利をさらに低く抑えることができます。

「振興事業に係る資金証明書」

「振興事業促進支援融資制度に係る事業計画書・生産性向上に係る事業計画書」

日本政策金融公庫HP

☛☛☛「振興事業貸付」を利用して飲食店を開業した事例について詳しくはこちら

生活衛生貸付の比較表

振興事業貸付は、一般貸付と比較して運転資金の借入が可能であることや、返済期間を長くできることにメリットがあります。

生活衛生貸付の注意点

一般貸付であれば都道府県知事の「推せん書」、振興事業貸付であれば生活衛生同業組合の長の「振興事業に係る資金証明書」が交付されてから融資を申込みますが、「書類が交付されれば融資もOK」という訳では無いので注意が必要です。

また、はじめての開業の場合で実際に融資を受けられる金額は、自己資金の2倍から多くても5倍程度までが目安です。

まとめ

☛ 一般貸付では「推せん書」が必要

振興事業貸付では「資金証明書」が必要

☛ 振興事業貸付は運転資金にも利用できる

一般貸付や振興事業貸付は、これから開業される方も利用できます。ただし、融資には審査がありますので事前に準備を整えておくことが重要です。

☛☛☛「飲食店の開業と融資の流れ」について詳しくはこちら

☛☛☛「融資成功の可能性を上げる方法」について詳しくはこちら

行政書士門間拓也事務所では、日本政策金融公庫から開業資金の融資を受けたいとお考えの方の創業融資をサポートしています。ご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。