日本政策金融公庫のソーシャルビジネス支援資金とは?
日本政策金融公庫には、介護事業や障がい・福祉事業、地域の活性化や女性の活躍を推進する事業など、社会的課題の解決を目的とする事業を行う方が利用できる融資制度があります。
今回は、「ソーシャルビジネス支援資金」について解説します。
ソーシャルビジネス支援資金とは?
ソーシャルビジネス支援資金は、NPO法人か、NPO法人以外で保育サービス事業、介護サービス事業など、社会的課題の解決を目的とする事業を営む方が利用できます。
「ソーシャルビジネス支援資金」を利用できる方
・NPO(特定非営利活動)法人
・保育サービス事業(NPO法人以外)
・介護サービス事業など(NPO法人以外)
・社会的課題の解決を目的とする事業(NPO法人以外)
日本政策金融公庫「ソーシャルビジネス支援資金」
ソーシャルビジネスとは、「社会的課題の解決を目的とする事業」のことで、以下のような分野で融資の実績があります。
ソーシャルビジネスの例
・高齢者の介護
・子育て支援
・女性活躍支援
・障がい者の就労支援
・商店街の空き店対策
・被災地復興
・自然・環境保護
・途上国支援
・過疎地域の活性化など
「ソーシャルビジネス」の定義は割と広く、一見すると関連が無いような事業でも内容次第では該当するケースが多々あります。
融資限度額は7,200万円で、そのうち運転資金は4,800万円までですが、はじめての開業の場合で実際に融資を受けられる金額は、自己資金の2倍から多くても5倍程度までが目安です。
返済期間は、設備資金は20年以内、運転資金は7年以内で、据置期間は設備資金・運転資金ともに2年以内です。
ソーシャルビジネス関連融資実績
2018年度のソーシャルビジネス関連融資実績は、融資先11,328件、融資額834億円で、1件当たり平均736万円でした。また、民間金融機関との協調融資の実績も、融資先1,941件、融資額202億円と大きく増加しました。
特徴としては、子育て支援や地域資源の活用などに取り組む「社会的課題の解決を目的とする事業者」向けの融資が大きく増加しており、社会的課題の多様化や複雑化を背景に、ソーシャルビジネス事業者の活動内容が多方面に広がってきており、それに伴って資金需要が高まっているためと考えられます。
ソーシャルビジネスの事例
以下、ソーシャルビジネスの事例をいくつかご紹介します。
事例1:地域活性化・福祉増進
高齢者や障がい者、病気を患う人々等、地域で暮らすすべての人々の、生きがいのある生活の実現や楽しく共生できる居場所づくりのために、外出や生活に関する困難を抱えた人々への移送サービス、生活支援サービス、地域交流の拠点となるサロン、多目的スペースを運営。
事例2:被災地支援
東日本大震災からの復興に向けた、被災地内外の人と人をつなぐコミュニティの形成のために、被災地でのコミュニティづくりや被災地の情報発信を実施。
事例3:地域活性化・まちづくり
市内の映画館が30年以上前に閉鎖されるなど、街の空洞化が進行している地域において、市民の憩いの場となる「まちの映画館」を通して、街に賑わいを取り戻すために、市で唯一の映画館を運営し、年間約100本の作品を上映、映画館の一角にフリースペースを設け、市民に交流の場を提供。
事例4:障がい者支援
障がい者や高齢者が、自分らしく誇りや生きがいを持って日々を送る「普通の暮らし」の実現のために、障がいのある子どもや大人、介護が必要な高齢者が世代を超えて交流できる共生型デイサービスを行うほか、就労支援を通じて障がい者の社会参加を促進。
事例5:農業振興
農家の高齢化が進み、担い手が減ることで増加している耕作放棄地を再生させるとともに、日本の農業人口そのものを増やすために、農園事業、大学校事業、流通事業の3つの事業を柱に「自産自消」の社会づくりに取り組む。
事例6:動物診療・保護
動物たちの小さな命を守り、命の大切さを伝えるために、捨てられた動物たちの診療・保護と、新たな飼い主とのマッチング。
事例7:地域活性化・まちづくり
誰もが安心・安全に、充実した生活が送れる住まいとまちづくりのために、年齢や健康状態等にかかわらず暮らせる賃貸住宅の提供や、同賃貸住宅を活用して、居住者と地域住民とのコミュニティ形成に向けたイベント開催等を実施。
事例8:障がい者支援
自閉症・発達障がい児者とその家族が、生き生きとした生活を送ることができる地域社会をつくるために、障がい者福祉多機能型事業所を運営するほか、自閉症・発達障がいに関する啓発講演や会報誌の発行等を行う。
「社会的企業・NPO向けソーシャルビジネスお役立ち情報」
日本政策金融公庫HP
まとめ
☛ ソーシャルビジネスは「社会的課題の解決を目的とする事業」
☛ ソーシャルビジネスへの資金需要は年々高まっている
日本は、少子高齢化や人口減少をはじめとする数々の社会的問題を抱えています。介護・待機児童・空き家・耕作放棄地など挙げればきりが無いほどです。今後、ソーシャルビジネス支援資金を利用して、社会的課題の解決に取り組む方がさらに増えるかもしれません。
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