開業資金の融資申込に自己資金はいくら必要?

日本政策金融公庫で開業資金の融資を受けるには自己資金をいくら用意できれば良いのか。

今回は、日本政策金融公庫の融資申込要件の1つである自己資金額の解説と融資成功事例を紹介します。

融資申込要件のタテマエ

日本政策金融公庫には、創業者向けに「新創業融資制度」という融資制度があります。

☛☛☛「新創業融資制度」について詳しくはこちら

ご利用いただける方

次の1~3のすべての要件に該当する方

1.創業の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
2.雇用創出等の要件(注1)
「雇用の創出を伴う事業を始める方」、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」又は「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」等の一定の要件に該当する方(既に事業を始めている場合は、事業開始時に一定の要件に該当した方)
なお、本制度の貸付金残高が1,000万円以内(今回のご融資分も含みます。)の方については、本要件を満たすものとします。
3.自己資金要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします(注2)。

日本政策金融公庫HP「新創業融資制度」

融資申込時の自己資金の要件として「創業資金総額の10分の1以上」

経験のある事業で創業する等の場合には「自己資金要件を満たすものとする」(自己資金0でも融資申込可能)と定められています。

この要件を見ると「100万円の自己資金があれば900万円の融資申込が可能」、場合によっては「自己資金が0でも融資申込が可能」ということになります。

自己資金についてはネット等でも様々な情報が飛び交っているようですが、実際には自己資金をどのくらい用意する必要があるのでしょうか。

国の政策

日本政策金融公庫は、国が100%出資する政府系金融機関です。

☛☛☛「日本政策金融公庫」について詳しくはこちら

そのため、国の政策による影響を大きく受けます。「若者も、女性も、シニア世代もドンドン働いてドンドン稼いでドンドン納税してください」 というのが今の国の政策です。

自己資金についても、以前は 「創業資金総額の3分の1以上」 が融資申込の要件でしたが今は「10分の1以上」が融資申込の要件です。

貸す側のホンネ

自己資金はあくまでも融資申込の要件であり、融資を受けられるかどうかは別の話です。

自己資金は「創業資金総額の3分の1以上」は欲しいというのが貸す側のホンネです。

なぜなら自己資金が少なく借入れへの依存度が高い事業は倒産する確率が高いというデータが出ており、実際に廃業率が高いからです。

結局、自己資金はいくらあれば良いの?

結局のところ自己資金はいくらあれば良いのか。ここで過去の融資成功例を一部ご紹介します。

飲食業のお客様(自己資金は十分、業界経験もある)

 創業資金総額 1,500万円

 自己資金    600万円

 融資実行金額  900万円

創業資金総額/自己資金=10分の4(自己資金40%)

製造業のお客様(自己資金があり、業界経験もある)

 創業資金総額 1,000万円

 自己資金    300万円

 融資実行金額  700万円

創業資金総額/自己資金=10分の3(自己資金30%)

介護保険事業のお客様(自己資金は少ないが、業界経験がかなり豊富)

 創業資金総額 620万円 

 自己資金   120万円 

 融資実行金額 500万円

創業資金総額/自己資金=約10分の2(自己資金19%)

上記の融資成功事例を見ると、必要資金の金額が大きければ大きい程、創業資金総額に対して自己資金の占める割合が高いことが分かります。

自己資金は、創業資金総額の3分の1を目安に準備したいところです。

☛☛☛「創業融資で自己資金が重要視される理由」について詳しくはこちら

ただし、創業する事業の業界経験が豊富な方の場合には自己資金が少なくても融資を受けられたケースもあります。

☛☛☛「融資の成功確率を上げる創業計画書」について詳しくはこちら

まとめ

自己資金は、創業資金総額の3分の1を目安に準備

自己資金が少ない場合、 創業する事業の業界経験でカバーできる場合も

☛ 生活のための「余裕資金」もチェックされる

自己資金が多ければ必ず融資を受けられるという訳ではありません。

これから開業する事業の内容はもちろんですが、 開業に向けてどれだけ準備してきたか、自己資金の額も含めて創業者の計画性を審査されます。

また、自己資金が少ない場合は創業する事業の業界経験をしっかりアピールすることでカバーできる場合があります。

最近は、自己資金(事業に使うための資金)以外に生活のための資金があるかチェックされるようになりました。

日本政策金融公庫は、事業がうまくいかなかった場合の創業者のリスクを考えて、当面の生活のための「余裕資金」についても含めて融資の審査をするようになってきています。

☛☛☛「余裕資金」について詳しくはこちら

行政書士門間拓也事務所では、日本政策金融公庫から開業資金の融資を受けたいとお考えの方の創業融資をサポートしています。ご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。