中小企業経営強化税制に「デジタル化設備(C類型)」追加
2020年5月1日から、中小企業経営強化税制について、特定経営力向上設備の対象に「デジタル化設備(C類型)」が加えられました。
中小企業庁
テレワーク等を促進するために中小企業経営強化税制が拡充されました
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2020/200501kyoka.html
※本記事は、令和2年度税制改正に対応した中小企業庁「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」(令和2年5月1日版)に準拠しています。今後の税制改正により内容が変更になる場合がありますので、最新の情報をご確認いただくか、当ページの運営者にお問い合わせください。
中小企業経営強化税制とは
中小企業経営強化税制とは、中小企業・小規模事業者や中堅企業が、経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取組を記載した「経営力向上計画」を事業所管大臣に申請し、認定されることにより即時償却又は取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用することができる制度です。
☛☛☛「経営力向上計画」について詳しくはこちらをご覧ください
今回、中小企業経営強化税制の利用が可能な特定経営力向上設備として、従来の生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)に、「デジタル化設備(C類型)」が加えられました。
デジタル化設備(C類型)とは
中小企業経営強化税制の利用が可能な特定経営力向上設備の対象となるデジタル化設備とは、下記の遠隔操作・可視化・自動制御化のいずれかに該当する投資計画を達成するために必要不可欠な設備です。
遠隔操作
1)デジタル技術を用いて、遠隔操作をすること
2)以下のいずれかを目的とすること
A)事業を非対面で行うことができるようにすること
B)事業に従事する者が、通常行っている業務を、通常出勤している場所以外の場で行うことができるようにすること
可視化
1)データの集約・分析を、デジタル技術を用いて行うこと
2)1)のデータが、現在行っている事業や事業プロセスに関係するものであること
3)1)により事業プロセスに関する最新の状況を把握し経営資源等の最適化を行うことができるようにすること
※「経営資源等の最適化」とは、「設備、技術、個人の有する知識及び技能等を含む事業活動に活用される資源等の最適な配分等」をいいます。
自動制御化
1)デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行うことができるようにすること
2)1)の指令が、現在行っている事業プロセスに関する経営資源等を最適化するためのものであること
中小企業経営強化税制を利用するためには「経営力向上計画」の認定を受ける必要がありますが、デジタル化設備(C類型)を取得する内容の経営力向上計画の認定を申請する場合は、事前に経済産業局によるデジタル化設備に関する確認書が必要になります。
「確認書」の取得方法
経済産業局によるデジタル化設備に関する確認書の取得〜計画申請〜税務申告までの流れは下記の図のとおりです。
確認書の取得方法は、以下の様になります。
①認定経営革新等支援機関による事前確認
申請者は、申請書に必要事項を記入して必要書類(当該申請書の裏付けとなる資料等)を添付した上で、認定経営革新等支援機関から事前確認を受けます。
申請書(様式1)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2020/200501ckakuninshinsei1.docx
基準への適合状況(様式1別紙)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2020/200501ckakuninshinsei1besshi.xlsx
②認定経営革新等支援機関が「事前確認書」を発行
認定経営革新等支援機関は、申請書と裏付けとなる資料に齟齬がないか等を確認し、申請者に対して「事前確認書」を発行します。
事前確認書(様式2)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2020/200501ckakuninshinsei2.docx
③経済産業局に「確認書」の発行を申請
申請者は、必要に応じて申請書の修正や添付書類の追加等を行い、②の「事前確認書」を添付した上で本社所在地を管轄する経済産業局に連絡・郵送して、「確認書」の発行を申請します。
※申請書2部、必要添付書類2部、事前確認書2部を一式として郵送
必要添付書類
(1)登記簿謄本の写し(個人の場合、税務申告書等の事業実施を確認できる書類)
(2)対象となる新規設備投資につき、既存設備の現況と設備投資後の状況を確認できる資料
例えば、導入しようとする設備が、建物附属設備、機械・装置、器具・備品の場合においては、当該設備の導入前後で事業プロセスがどのように変化するのかが分かる資料。ソフトウェアの場合は、当該ソフトウェアがシステム全体にどう組み込まれる予定で、システム導入前と導入後の変化を確認できる図表等
(3)投資計画の分かる資料(本申請書の根拠となる資料)
代表者またはそれに代わる者の押印がなされた、社内で決裁された申請書に係る投資計画、それに代わる稟議書・取締役会議事録等、導入する設備の見積書
④経済産業局が「確認書」を発行
経済産業局は、申請書が到達してから1ヵ月以内に、申請書・必要添付書類・②の「事前確認書」に基づいて、申請書が経営力向上設備等の投資計画であるとして適切である場合に、「確認書」を発行します。経済産業局で「確認書」が発行されると、申請書と必要添付書類を添付したものが返送されます。
※資料の不備が多い場合や修正対応に時間を要する場合には、1ヵ月以上の期間を要する場合もあります。
確認書(様式3)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2020/200501ckakuninshinsei3.docx
なお、認定経営革新等支援機関の「事前確認書」の発行及び経済産業局の「確認書」の発行にあたり、それぞれが必要と判断した申請書の根拠資料の提出や合理的な説明がなされない場合は、「事前確認書」「確認書」は発行されません。
まとめ
経済産業局の「確認書」は、経営力向上計画の認定申請に際して添付する必要があります。また、設備の取得は計画認定後に行うことが原則です。
「確認書」の取得には、経済産業局は標準処理期間として1ヵ月を設けており、経営力向上計画認定の取得には、標準処理期間として約1ヵ月を設けていますので、スケジュールには余裕をもって申請する必要があります。
行政書士門間拓也事務所では、経営力向上計画の認定申請をサポートしています。ご相談は無料ですので、ご不明な点やお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。